ETCコーポレートカードの利用停止措置とは?ペナルティに注意すべき点

組合

ETCコーポレートカードは、道路交通法を違反したり、カードの不正利用が発覚すると「利用停止措置」などのペナルティを受けることがある。

ETCコーポレートカードのペナルティには「1枚のカードが一時的に割引停止」という比較的軽いものから「契約しているカード全て取り消し」という厳しい罰則まである。

契約資格取り消し処分を受けた場合、以後3年間はETCコーポレートカードの申し込みができなくなってしまう。もちろんETC協同組合の変更もできない。加入を拒否される。

会社の損害は甚大だ。利益から「大口・多頻度割引による割引額」がごっそり減る。最悪のパターンで会社の存続が危ぶまれる可能性もある。

ETCコーポレートカードは、恩恵が大きいからこそ厳しい規定が設けられているわけだが、利用者の皆さんには正しい使用方法とルールを遵守した運転を心がけてもらいたい。

ETCコーポレートカードのペナルティとは

ETCコーポレートカードのペナルティとは、規約を違反した際に課せられる罰則だ。具体的な例としては「料金未納」「道路法違反」「車両不一致」などが挙げられる。

ペナルティは「割引停止」「利用停止」「資格取消し」などがあり、5段階のパターンが用意されている。

  • 一部割引停止
  • 一部利用停止
  • 全部割引停止
  • 全部利用停止
  • 契約資格取消し

詳細はネクスコの利用案内(pdf注意)でも確認できるが、一つ一つ解説していこう。

一部割引停止のペナルティ

ETCコーポレートカードのペナルティで最も軽い措置が「一部割引停止措置」だ。

違反した車両のみ「大口・多頻度割引」が停止される。料金を支払うETCカードとしての利用ができるうえに、ペナルティ期間は1年以内と定めているため一番軽い罰則だ。

一部割引停止の対象要件
  • 車両不一致(※1)
  • 通行料金の不正行為
  • 第三者にカードを貸与
  • 車両制限違反で一定の点数に達したとき
  • その他規約違反

※1…うっかり間違った程度でペナルティを受けたケースは聞いたことがないため、恐らく悪意が認められた時だと予想される。

一部利用停止のペナルティ

5段階中2番目に軽いペナルティが「一部利用停止」だ。ETCコーポレートカードの割引だけでなく、ETCカードとしての機能も停止される。

ペナルティの対象は1枚のETCコーポレートカードだけで、罰則期間も1年以内と定めているが、カード自体が使えなくなるため、現金払いか別のETCカードを用意することになる。

一部利用停止の対象要件
  • 「一部割引停止」の情状が重とき
  • ETC車載器の偽装
  • 原因者負担金を支払わなかったとき(※2)
  • 車両制限違反で一定の点数に達したとき
  • その他規約違反

※2…原因者負担金とは、ガードレールや照明灯など道路設備を汚損した者が負担する費用のこと。ETCレーンのバーやガードレールを破損させたら弁償しなければならない。当て逃げに対するペナルティだ。

全部割引停止のペナルティ

3段階目のペナルティから経営に響くレベルになる。「全部割引停止」は、違反した車両だけでなく契約しているETCコーポレートカードの「大口・多頻度割引」が停止される措置だ。

10枚のETCコーポレートカードを発行している会社は、10枚全てが割引対象外となる。

料金所のゲートを開くETC支払いは可能であり、また期間を1年以内と定めている。

全部割引停止の対象要件
  • 虚偽の情報でカードの発行
  • 一部割引停止または一部利用停止期間中に重ねて違反したとき
  • 一部割引停止または一部利用停止が解除されて2年以内に違反したとき
  • 車両制限違反で一定の点数に達したとき
  • その他規約違反

全部利用停止のペナルティ

契約者のETCコーポレートカードが全く使用できないペナルティが「全部利用停止措置」だ。

追加カードを含めた全てのETCコーポレートカードは、料金所の支払いすらできなくなる。

全部利用停止の対象要件
  • 利用料金の督促を期日以内に納めなかったとき
  • 保証書または保証金を預託しなかったとき
  • 原因者負担を長期的に履行しなかったとき
  • 一部の割引停止、利用停止の警告を2年間に3度受けたとき
  • 車両制限違反で一定の点数に達したとき
  • その他規約違反

契約資格取消しのペナルティ

最も重たいETCコーポレートカードのペナルティは、契約自体が取消しされる「契約資格取消し措置」だ。

強制解除のペナルティを受けてしまうと、以後3年間は再契約ができなくなってしまう。

契約資格取消しの対象要件
  • 虚偽の情報でカードの発行
  • 違反による賠償を履行しなかったとき
  • カードの利用で横領・脱税などが認められたとき
  • 支払いが困難だと判断されたとき
  • 車両制限違反で一定の点数に達したとき
  • その他規約違反が重いと判断されたとき
  • 2年間カードの利用がなかったとき

ETCコーポレートカードのペナルティを受ける違反行為の具体例

ETCコーポレートカードは、安全運転を心がけ普通に利用していればペナルティを受けことはない。

私自身も含めて直接の知人でペナルティを受けた人はいない。ペナルティを受けること自体レアなケースだが、それでも停止措置は後を絶たないのが現状だ。

一体どんなことをしたらペナルティ措置を受けるのだろうか?もう少し具体的に解説する。

料金未払いによるペナルティ

ETCコーポレートカードのペナルティを受ける原因で最も可能性が高いのは「使用料金の未払い」による停止措置だ。

うっかり口座に入金するのを忘れた程度で即停止措置にはならないが、督促を無視したり、何度も繰り返したりすると容赦なく制裁が下される。

申し込み窓口が「ネクスコ」か「ETC協同組合」かによって支払期限が異なるが、決められた支払期限は厳守しよう。

ETCレーンに関するペナルティ

ETCレーンの通過速度制限(時速20km以下)をオーバーしてゲートを通過するとペナルティを受ける、という噂がある。

真偽は不明だが「○○社が通過速度制限で停止措置を受けた」という具体的な話しは聞いたことはない。噂だけが独り歩きしている状態だ。または啓発活動の一環なのかもしれない。

ただしETCレーンは通過する際にカード番号をスキャンするため、高速道路株式会社が管理するETCコーポレートカードは持ち主を特定することは容易だ。

そしてETC協同組合を経由して「警告が来た」という話しは人伝に聞いたことがある。警告を無視して再犯を繰り返すと停止措置が行われるのかもしれない。

ETCレーン関係で可能性の高い停止措置は「レーンを破損して逃げた」というケースだろう。原因者負担金の支払いを拒否すれば利用停止にもなる。

車両制限違反のペナルティ

最後に「車両制限違反」を紹介しよう。

全てのペナルティ対象要件に記載されているように、ETCコーポレートカードの停止措置で一番多い原因が「車両制限違反」だ。

簡単に説明するなら「荷物を積み過ぎたトラック」だ。荷物を積める重量はトラックによって上限があり、重量をオーバーすることを「過積載」と呼ばれている。

「車両制限令」という法令の中に「特殊車両制限令」という項目があり、これを違反すると「特殊車両制限令違反」となる。

特殊車両とは「トレーラー」や「トラクタ」といわれる数十トンクラスの運転席部分と荷台が脱着可能な車両を指す。

過積載による累積点数が一定数をオーバーした時に厳しいペナルティを受ける。

つまりETCコーポレートカードのペナルティ措置のほとんどは「トレーラー」や「トラクタ」を所有し、かつ「車両制限令」を違反している一部の業界で起きている。

一般車がペナルティを受けることは少ないが、高速道路公式のETCコーポレートカードを所持しているなら、他のドライバーの見本となる運転を心がけたいものだ。