ETCコーポレートカード協同組合を名乗る者からの勧誘、最近では特に「営業電話」が増えているようだ。
ETCコーポレートカードを使っていない人には「私どもの組合でETCカードの発行をしませんか?」と勧誘してくる。
すでにETCコーポレートカードを持っている人に対しては「私どもの組合はもっと割引できますよ」と組合変更の手続きを勧誘してくるのだ。
実際に正規の割引をしていないETC協同組合があるのは事実だ。そのため組合を変更したら「高速代が安くなった」というケースも少なくない。
しかし営業電話で勧誘してくるETCコーポレートカードは避けた方が良い。なぜなら「ETCコーポレートカードを餌に組合加入を勧誘する行為」は禁止されているからだ。
禁止行為を堂々と行う組合は遅かれ早かれ解散させられ、手間暇かけて作ったETCコーポレートカードが無効になる可能性がある。
かといって(営業用電話のため)やんわりお断りをしても「絶対に損をさせませんから!」と引かない強引な勧誘もある。
- ETC協同組合の変更は本当に得なのか?
- 信用できるETC協同組合とは?
- 営業電話の断り方
今回は以上3点を中心とした記事を紹介する。
ETC協同組合やETCコーポレートカード自体は怪しいものでないが、よく知らない人は別記事「ETCコーポレートカードとは?」を参考にしてもらいたい。
ETCコーポレートカードを勧誘する組合
ETCコーポレートカード自体は決して怪しいものではない。NEXCO(高速道路株式会社)が発行するETCカードだ。
高速道路を頻繁に利用する法人は導入していることが多い。
ただしETCコーポレートカードには「保証金が必要」「利用明細が分かりにくい」など、デメリットも少なくない。
そこでETC協同組合だ。保証金や利用明細問題を解決してくれるのが「ETCコーポレートカード協同組合」である。

なぜETCコーポレートカードを勧誘するのか
ETCコーポレートカードETC協同組合は組合員(参加法人)が多ければ多いほど安定する。
組合員は「車両単位割引」によって最大約30%(ETC2.0の事業車両は40%)の割引を受けることができるが、組合の運営費は組合員全体の「契約単位割引」で賄っているからだ。
「契約者単位割引」は登録車両の月利用額が平均3万円以上でなければならない。
最近、ETCコーポレートカードの勧誘が増えたのはこの「契約単位割引」が関係していと予測される。
組合員の高速道路利用が減った、もしくは平均利用額が3万円届かなくなった、などの理由で組合運営費である「契約単位割引」が受けられなくなっているのではないだろうか。
そうなるとETCETC協同組合の活動は著しく縮小される。組合が解散してまえば「ETCコーポレートカードが突然使えなくなる」という最悪な事態も起こり得る。
原因はもちろん武漢コロナウイルスである。
2020年のコロナショックは観光業や飲食業だけでなく日経平均など様々な経済ダメージを与えた。
高速道路の利用率も大幅に減った。ETCETC協同組合の生命線である「契約単位割引」も減ったと思われる。
減った売り上げを補てんするために「電話による勧誘」が増えたのではないだろうか?中らずと雖も遠からずだろう。
外国人技能実習生事業
もう一つ、(これも想像の範囲だが)ETCコーポレートカードETC協同組合は別事業として「外国人技能実習生受入れ事業」を兼用している組合が多い。
武漢コロナの影響で外国人の出入りが厳しく制限されている現在、外国人技能実習生事業は高速道路事業よりはるかにダメージが大きいはずだ。
コロナショックの終息は目途が立っていない。であれば、相対的にダメージの少ない高速道路事業に力を入れようとしているのではないだろうか。
どちらのせよ「強引な勧誘をするETCコーポレートカード協同組合」は存続の危機を匂わせるのだ。
ETCコーポレートカードの勧誘の断り方
コロナショックで「存続が危ういETC協同組合がある」を理解したところで、次に紹介するのは勧誘の断り方だ。
ETCコーポレートカードの勧誘について、「断り方」というサジェストが目につく。営業電話を受けた人達は「ETCコーポレートカードの電話営業を拒否したい」と考えているのだ。
営業電話に対して「いらん!二度と電話をかけてくるな!」と突き放せれば良いのだが、会社の代表番号だと厳しく断るのも気が引けるだろう。
一番手っ取り早い断り方は「ETCコーポレートカードは営業禁止ですよね?」である。二度とかけて欲しくない場合は「また電話をかけてきたらネクスコに報告しますよ」を追撃するとなお効果的だ。
ETC協同組合は基本的にカードの勧誘は禁止されている。
それでもグダグダと喋る相手だった場合は「電話相手の組合と担当者の名前を聞く」と良いだろう。「検討してこちらから連絡する」と穏便に済ますのが大人の対応だが、それでも更に食い下がらない営業電話は要注意だ。ますます「存続が危うい組合」の疑惑が深まる。
既に他のETC協同組合に加入している時は、現在加入している組合に相談する手もある。
「他のETC協同組合からしつこく営業されて困っている」「今よりお得な条件を出されている」とチクれば良い。
本当にチクらなくても、営業電話の相手に「しつこい営業電話は今の組合に相談する」と言えば大抵は引き下がるはずだ。
なにせ「事業協同組合」は別団体であるが横の繋がりが強い。
「ETC協同組合の変更」は、ようするに顧客の取り合いであり、組合業界ではルール違反となる。加入しているETC協同組合は即座に対応してくれるはずだ。
もしETC協同組合に未加入で、電話で勧誘してくるETCコーポレートカードは断りたいのであれば、「高速道路は使っていない、今後使う予定もない」と言えば簡単に終わる。
ETC協同組合の変更は得?それとも損?
もし仮に、加入しているETC協同組合が信用できず、変更を考えているタイミングで勧誘の電話があったとしよう。
話しを聞くくらいはありだが、ETC協同組合の変更は簡単ではない。新規の申込みより手間と時間がかかる。
- ETCコーポレートカードを解約
- ETC協同組合を脱退
- 新しいETC協同組合に加入
- ETCコーポレートカードを新規申込み
- 利用開始
上記の工程を経るため、ETC協同組合を変更する時は「ETCコーポレートカードが使えない期間が2~3カ月」必要とする。
組合脱退と新規加入のタイミングを都合よく合わせても、最低でも1ヶ月以上は空白期間が発生する。
最低1ヶ月、通常なら2~3カ月「大口・多頻度割引」が適用されず、書類作成などの手間も加わる。
変更先のETC協同組合は信用できるのか問題
所属している組合がよほど信用できないのなら変更も視野にいれるべきだが、変更先の失敗は許されない。
「割引率が低いから」という理由で組合を変更したら、今度は「割引対象道路が少なかった」となっては洒落にならない。
変更するにしても、変更後のETC協同組合は大丈夫なのだろうか?電話で猛プッシュ勧誘してくる組合は健全なのか?よく考えて慎重になるべきだ。
ETCコーポレートカードの勧誘まとめ
ETCコーポレートカードの勧誘について最後にまとめる。
ETC協同組合とETCコーポレートカードは高速道路を頻繁に利用する企業にとって頼りになる存在だ。しかし、勧誘されて無理矢理申込みするものではない。
高速道路の利用状況を把握し、会社の運用方針を照らし合わせてまっとうなETC協同組合を探すべきである。

またETC協同組合の変更も熟考しなければならない。
変更して具体的にいくら得をするのか?ETCコーポレートカードが利用できない期間も合わせて考える必要がある。回収するのにどのくらいの期間が必要なのか?現在の利用明細でシミュレーションしれくる組合もあるので相談する手もある。
最後に、一つ誤解のないように言わせてもらうと、ETCコーポレートカードの勧誘電話をかけてくるETC協同組合が全て怪しいとは限らない。
勧誘してくるが、まっとうに運営している団体もあると思われるが、個人的には「営業を仕掛けてくる商品は信用しない」というのがモットーだ。素晴らしい商品なら勧誘せずとも顧客に困ることはないからである。