ETC2.0に将来はあるのか?従来型ETCでも十分な件

ETC知識

ETC2.0の車載器を積んだ事業用車両はETCコーポレートカードの割引率が最大40%になる。事業用車両でも従来型のETCでは最大30%だ。

40%割引率の「大口・多頻度割引制度」はETC2.0拡大キャンペーンの一環であり本来なら事業用車両の制限は無かった。自家用車でもETC2.0なら40%であった。

2021年3月末にはETC2.0の車載器を付けても事業用車両でも割引率は30%に引き下げられる予定だ。

本来なら2020年の3月末でETC2.0キャンペーンも終了のはずだった。緑ナンバーとETC2.0は国土交通省の管轄だ。何かしらの協議の結果、運送業界に忖度したのだろう。

厳しい基準をクリアした緑ナンバーは優遇されても納得だが問題は自家用車だ。ETCコーポレートカードだけでなく一般的にETC2.0のメリットは少ない。

メリットが少ないだけでなくデメリットの方が大きく認識されているようで逆に避けられている傾向がある。

ETC2.0とは?メリットのおさらい

ETC2.0とは次世代ETCだ。

ETCとはElectronic Toll Collection System」の頭文字を取ったもの。直訳すると「電子料金収受システム」となる。ノンストップ自動料金支払いシステムとも呼ばる。

  • 料金所の混雑緩和
  • 休日割引・深夜割引などの導入の簡易化

日本におけるETCの導入は大成功と言えるだろう。

一方「2.0」とは元々はIT用語である。2000年代中頃に流行った「web2.0」という概念だ。フラットでお洒落なデザインが好まれた。

「お金2.0」を筆頭にあらゆる著書に2.0が付与された。ドコモ2.0は盛大にこけたが「○○2.0」という名前のサービスが世に溢れた。

ETC2.0もその流れの一つだ。サービス開始時は「ITSスポットサービス」と呼ばれていたが2014年に「ETC2.0」と名称を変えた。2.0が流行り出しておよそ10年後である。

ETC2.0の機能はまさしく「2.0」

しかしながらこの「ETC2.0」という改名は悪くない。

前述したように「web2.0」とはwebサービスの進化の概念だ。

それまでネット情報は「webサイトから読者へ」と一方通行によるものだった。ニュースサイトのように読者は情報を拾うのみだ。

それがyoutubeやツイッターなどSNSの登場で読者が情報を発信できる立場になった。webサイトは場を提供するプラットフォームへと変化を遂げた。

もちろんニュースサイトのような従来型サイトも多く存在するが口コミ機能が付いて読者も参加できるタイプが一般的だ。

ETC2.0も利用者が情報を提供する。

プローブ情報(※後述)を発信することで渋滞や落下物などの注意を事前通知してくれる。このサービスで渋滞を回避したルートを走ると高速料金が安くなる制度も予定しているという。

また高速道路を途中で降りても「道の駅」を利用すれば降りなかった料金で精算するサービスもある(現在はICと道の駅が限定されている)

その他にも様々なサービスを予定している(時期は未定)

  • ドライブスルーのキャッシュレス化
  • フェリー乗船の簡素化
  • 駐車場やガソリンスタンドの決済サービス

国土交通省のキャッチフレーズは「料金収受システムから運転支援システムへ」だ。

ちなみに現在のETC2.0大きなメリットは圏央道が割引きになることと事業用車両ならETCコーポレートカードが最大40%割引きになる割引サービスに特化している。個人的にはETC1.5に留まっている印象だ。

ドライブスルーの自動決済を試験運用

2020年7月末、ケンタッキーのドライブスルーで「ETC」の決済を利用したサービスを試験的に運用すると発表した。

8月3日から相模原中央店で試験される。テスト運用のため事前に登録が必要だ。

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武漢ウイルス第二派真っ只中のことであり、従業員と客の接触機会を減らせるため感染症対策の手段としても気になるところだが、ETC2.0だけでなく従来のETCでも利用できる。

ETC2.0は本当に必要なのか問題

ETC2.0は情報を相互に交換することによって更なるサービスを広げようとしている。だがこの2.0に否定的な意見も少なくない。

理由は単純だ。自分の走行情報を把握されているのが気持ち悪いのである。監視されている気分になるのだ。

ETC2.0の収集するプローブ情報とは?個人情報は含まれない

収集されるデータはプローブ情報と呼ばれ国土交通省の「利用及び取り扱い方針」によると下記のような情報が含まれる。

ETC2.0プローブ情報
  • ETC2.0車載器及びETC2.0対応カーナビに関する情報
  • 車両に関する情報
  • 走行位置の履歴
  • 急な車両の動きの履歴

車両や個人を特定する情報は含まれないのでまずは安心して欲しい。そしてプローブ情報は経路情報を活用したサービス以外には使用しないとのことだ。

似た様なプローブ情報はスマートフォンアプリ「Googleマップ」などでも収集している。渋滞情報は利用者の提供したプローブ情報が元になっている。

プローブ情報はITSスポットでアップロード

提供:国土交通省

プローブ情報やそれを元に分析された渋滞情報などは高速道路に設置された「ITSスポット」で送受信をしている。

この「ITSスポット」の設置だけで250億円つぎ込んだと言われている。後に引けない予算だ。

莫大な先行投資したのにも関わらず集めたプローブ情報もほぼ生かされていのが現状だ。

国土交通省は民間企業と提携しサービス拡大を図っているが、そもそもETC2.0の設置費用も高く利用者の負担が大きい。

圏央道を頻繁に利用する人を除いて導入する必要性はあるのか疑問符が残る。

ETC2.0に買い替える時期

ではETC2.0に買い替えず現状のETC車載器のままで良い無いのか?と問われるとそうでもない。2022年と2030年には注意が必要だ。

2022年から一部のETC車載器が使えなくなり、2030年にはセキュリティ企画が変更される為かなりの数のETC車載器が使えなくなると言われている。

まず2022年12月1日から使えなくなるのは2007年以前に作られた旧スプリアス認証の車載器だ。

2005年に改正された無線設備規制が関係している。ETC車載器だけでなく無線機・電話機・オーディオ機器などワイヤレス製品も利用できなくなる(気になる製品を持っているならメーカーの公式サイトで確認することをすすめる)

次に予定されているのが2030年のセキュリティ企画の変更だ。

「セキュリティ向上を目的とし現行のものに問題が発生しているのではない」と国土交通省は説明している。時期は2030年を予定だが現行のシステムに脆弱性がある場合は予定を早める方針だそうだ。

良い機会だからとETC2.0を選ぶ必要はないが新セキュリティは話が別だ。最近では10年乗る車両も珍しくない。乗り換えの時は条件の一つとしてリストに入れておこう。

また、今現在ETC2.0車載器を使っている車両は問題ないかというとそうでもない。旧セキュリティを採用しているETC2.0車載器も存在するから注意が必要だ。

ETC2.0についてまとめ

今のところ買い替えの理由としては2022年の旧スプリアスと2030年の旧セキュリティだが「ETC2.0」を選ぶ必要はない。新セキュリティに対応した従来型のETC車載器が発売されている。

結論を言えばETC2.0は無用の人にはとことん無用の長物だ。値段が高いだけで恩恵はかなり限定されている。

そもそも料金所のゲートをノンストップで開ければ問題は無い一般利用者は多い。渋滞情報はカーナビ、無ければスマートフォンプリで事足りる。

そう、ETC2.0の最大のライバルはスマフォアプリだ。

iphoneが日本に上陸したのが2008年、少し遅れてgoogleがアンドロイドを発売した。スマフォ市場は劇的に進化した。

ソフトウェア開発のスピードは目を見張るものがある。流行らなければ欠点を修正しアップデートするだけで良いのだ。ソフト屋の強みである。

一方のETC2.0は後戻りが難しいハードウェアから開発を進めた。

前述したが「ITSスポット」の設置だけで250億円だ。更に対応したソフトウェアの開発や利用者の負担も重くのしかかる。

利用者はバカではない。付随するサービスのメリットとデメリットを見極め、市場をしっかりと調査してより良いサービスを選択する。

利用者のニーズをスピーディーに対応するスマフォアプリが選ばれるのは火を見るよりも明らかだろう。「お役人様が考えたすごい企画」よりユーザビリティの高いアプリが数多くある。

しかしETC2.0には国が関わっている強みがある。ETC2.0に特化した割引サービスやキャンペーンが拡大される可能性は十分にある。

これを機にETCとETC2.0について考えてみてはいかがだろうか。

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