ETCコーポレートカードは、法人におすすめのETCカードだ。
法人名義で申込みできるETCカードは4種類ある。どのETCカードを使用してもETC割引は適用されるが、高速道路を頻繁に使うのであれば、「大口・多頻度割引割」が付いたETCコーポレートカードがおすすめだ。しかし、手続きに手間がかかったり、普通に申込むと保証金が必要だったりするため、使用頻度が低いならクレジット会社が発行するETCカードがお手軽だ。
今回の記事では、4種類の法人ETCカードを比較して「審査内容」「発行の手軽さ」「複数枚所持」「クレジット機能の有無」「割引率」などのサービスから「選ぶべき法人用のおすすめETCカード」を紹介する。
法人ETCカードはお得でおすすめ
まず一つ知っておいてももらいたい。基本的に高速道路はETCカードを使った方が料金が安くなるケースが多い。
ETC車載器を使わずに「ETCカードを手渡し」で使用した場合は割引されないこともある、ETCカードは現金精算より優遇されている。
また、ETCマイレージサービスに登録すれば、マイレージポイントの他に休日割引や時間帯割引も利用できる。
ETC車載器の取り付け費が1~2万円かかったとしても、ETC割引を活用すれば回収はそう難しくない。
その他にも、現金精算の作業がなくなり経理の負担が減る、最近のレンタカーはほぼETC車載器が搭載されている、などなど、ETCカードは現代社会に必須のアイテムとなっている。
おすすめ法人ETCカードの比較ポイント
社用車が無くても1枚は所有していたいETCカードだが、法人名義で申込み・発行できるETCカードは全部で4種類ある。
- ETCコーポレートカード
最も割引率が高い - ETC法人カード
審査がゆるい(後払い) - ETCパーソナルカード
審査がゆるい(前払い) - ETCクレジットカード
クレカを持っているなら発行手続きが簡単
それぞれの詳しい説明は後述するとして、今回のお題は「どの法人ETCカードがオススメなのか?」だが、結論から言えば会社のスタンスに合わせるのが正解である。
「高速道路の利用頻度」「社用車の台数」「会社の設立年月日」などを把握し、使い勝手の良い法人ETCカードを選ぶことが重要だ。
4種類の法人用ETCカードの特徴を比較してみよう。
おすすめ法人ETCカード「ETCコーポレートカード」
ETCカードの中で、最も割引されるのがETCコーポレートカードだ。大口・多頻度割引は「普通車なら最大30%、ETC2.0の事業用車両(緑ナンバー)なら40%」まで割引される。
「大口・多頻度割引」と合わせて、「休日割引」や「深夜割引」を併用すると50%近く割引されることもある。ETCコーポレートカードは、運送業や卸売業などの「物流系」の法人はまず導入している。
コーポレートと名前が付いているが、個人でも申込み可能で、5,000円以上の利用から割引があるため、敷居は高くない。
しかしETCコーポレートカードの申込みには謄本や車検証の写しなどが必要で、手間がかかる上に申込みから発行まで1カ月ほど期間を要する。また、使いまわしができない(他の車で使えない)デメリットもある。
計算上では「高速代を毎月コンスタントに13,800円以上使っている」なら、ETCコーポレートカードがおすすめだ。高速代が13,800円前後の際どい場合は、他のETCカードと比較する必要がある。
おすすめETCコーポレートカードのメリットとデメリット
- 高速料金が大幅割引
- 深夜割引と併用可能
- 休日割引と併用可能
- 平日朝夕割引は利用可能(併用不可)
- 4ヶ月分の保証金
- ETCマイレージサービス不可
- 申込みが手間
- 申込みから発行まで1カ月
- 別の車で使えない
- 規約違反は利用停止措置もある
ETCコーポレートカードの申込みはネクスコ(高速道路株式会社)で受け付けているが、普通に申込みをすると「4ヶ月分の保証金」が必要になる。
月々の高速代が3万円以上なら「ETC協同組合」に加入して保証金を免除することも可能だ。
新設法人OKの後払い制「法人ETCカード」
ETC法人カードは「ETC協同組合」が発行する後払い制のETCカードだ。ETCコーポレートカードとは異なり、月々の高速代が3万円未満でも加入できる。
ETCコーポレートカードのような特別な割引サービスはないが、デメリットはほぼ無い。
利用規定も甘く、ETC車載器が付いている車であればレンタカーやリース車などでも使用可能である。法人カードの中では一番お手軽なETCカードと言える。
利用明細はETCコーポレートカードと同等のものが発行され、マイレージサービスも組合が代行してくれる(※対応しない組合もあるので注意)
クレジットカードがない、クレジットカードが作れない、設立して間もない法人、などに需要があるようだ。
法人ETCカードのメリットとデメリット
- 審査がゆるい
- ETCマイレージサービス付き
- 1枚のカードで使い回しができる
- 複数毎発行できる
- 利用明細の一元管理
- 支払いは後払い(口座引き落とし)
- 特別な割引サービスがない
デメリットは「法人」という冠が付いておきながら「法人割引き」の類がない点だ。現金で支払うよりマシ程度である。
デポジット制の「ETCパーソナルカード」
クレジットカードがない法人向けの「ETCパーソナルカード」はネクスコ(高速道路株式会社)が発行している。デポジット(保証金)の80%を限度額として利用できる。
クレジット機能がないため比較的審査が緩い。ただしカード1枚あたり1,257円の年会費と、法人で申込みをするなら登記簿謄本の提出が必須だ。
ETCマイレージサービスは自分で登録して管理する必要がある。手間と感じるならETC協同組合の発行する「ETC法人カード」を申し込みした方が良いだろう。
ETCパーソナルカードのメリットとデメリット
- 審査がゆるい
- ETCマイレージサービスに登録可能
- 1枚のカードで使い回しができる
- デポジット制(前払い)
クレジット会社発行の「ETCクレジットカード」
最も馴染みがあるETCカードは、クレジットカード会社が発行するETCクレジットカードだ。
三井住友、アメックス、セゾンなど、大抵のクレジットカード会社がオプションとして発行している。
クレジットカードのオプションであるため、まずはクレジットカードを申込むことが条件だが、既にクレジットカードを持っていればETCカードの発行は手軽で早い。
法人であればビジネスカードを申し込むのが一般的だが、代表者や役員の個人カードを使っているケースも多い。
従業員が個人名義のETCカードを使い、経費として計上しても問題もないが、経理担当の手間が発生する。早めにビジネスカードに切り替えるのが得策だ。
また、意外と知らない人がいるようだが、ETCマイレージサービスは個人のETCクレジットカードでも登録できる。
ETCクレジットカードは、クレジットカードのポイントが貯まるのもメリットだ。
ETCクレジットカードのメリットとデメリット
- (クレカを持っていれば)発行が早い
- ETCマイレージサービスに登録可能
- クレジットのポイントも貯まる
- クレジット審査がある
デメリットはクレジットの審査がある点だ。
設立して間もなく実績が無い法人はクレジット審査で落ちるケースも少なくない。審査に落ちてしまえば当然ETCカードも発行できない。
おすすめ法人ETCカードの比較まとめ
法人名義で申込みできる4種類のETCカードについて解説をした。まとめると、優先順位を付けるなら下記のようになる。
- ETCコーポレートカード
- ETCクレジットカード
- ETC法人カード
- ETCパーソナルカード
高速道路の料金が月に3万円以上使っているならETC協同組合が発行するETCコーポレートカードがおすすめだ。
4ヶ月分の保証金が免除されるうえに、設立して間もない若い法人でも申込み→発行できる。
ETC協同組合は全国に200以上あるが、当ラボがおすすめしているのは「テイ・ネット組合」だ。
高速料金が月に3万円未満でもETCコーポレートカードを利用できるが、基本的にETC協同組合への加入はできない。
本人がネクスコに直接申し込まなければならないため、4ヶ月分の保証金を積む必要がある。予算を確保しよう。
高速道路が月に13,800円前後ならETCコーポレートカードと他の法人ETCカードを比較する必要がある。
ETCマイレージサービスの方が安くなる場合もあるし、クレジットカードのポイントも考慮する必要がある。
ETCコーポレートカードを諦めるならクレジットポイントが貯まるETCクレジットカードをすすめる。
ETCマイレージサービスに登録すればそれなりの割引サービスが付与されるし、ETCカード自体の手数料は無料のケースが多い。
設立1年未満でも申込みを受け付けてくれるクレジットカードは出てきているが、それでもやはり審査は厳しい。
新設したばかりの法人であればETC法人カードだ。
ETC法人カードはETC組合が発行しマイレージ管理もしてくれるため面倒な手間は一切ない。
ETC法人カードに「大口・多頻度割引」はないが、ETCコーポレートカードと同じような分かりやすい利用明細サービスはある。
クレジット審査が通らず、ETC組合のような団体に入りたくない場合はETCパーソナルカードだ。
メリットを感じることは少ないだろうが、ある意味一番気楽なETCカードではある。