ETCコーポレートカードは個人で所有できるのか?という話題が定期的にあがる。結論から言うと答えは”YES”だ。
ETCコーポレートカードは個人で申し込み、発行、利用できる。そして通勤で使うのも問題はない。ETC車載器を搭載していればバイクでも利用可能だ。
ただし事業届を提出していない個人はETC協同組合を利用できない為、ネクスコが申込み窓口になる。4ヶ月分の保証金(最低10万円)が必要だ。
それでもETCコーポレートカードを個人で申し込む人はいる。何かしらの事情を抱えることは少なくないようだ。
- どんな人が個人で申し込みをするのか
- 他のETCカードと比較しよう
- こんな人にメリットがある
以上を中心に「個人使用のETCコーポレートカード」について考えられるケースを書いていく。
なお事業届を提出している「個人事業主」なら保証金不要のETC組合を利用できる。「テイ・ネット」がオススメだ。
個人で申し込むETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードの”コーポレート”は「企業」のことである。簡単に言えば企業向けのETCカードだ。
元々は運送業への支援が目的だったが、ETCコーポレートカードの利用申込書には「個人の申込みに法人登記簿は必要ない」と明記している。個人の申し込みも受け付けているのだ。
「コーポレート」の名称が話しをややこしくしている。
ちなみにETCカードには「ETC法人カード」という種類もあり、こちらは個人では申込みできない。さらに混乱する。
ETCコーポレートカードと個人と組合の関係
ETCカード業界をややこしくしているのはETC協同組合の存在だ。
ETC組合では「ETCコーポレートカード」と「ETC法人カード」の申込みができる。和訳しただけのように思えるがこの2種類は全くの別物だ。
ETC組合はETCコーポレートカードの申し込みや毎月のサポートを行う団体で、加入すると「保証金が不要」「明細整理」など様々な利点がある。
だが事業届を提出していない完全な「個人」ではETC組合に加入することはできない。理由はETC組はとは正式には「ETCコーポレートカード事業協同組合」だからだ。
この話しが一人歩きをし、「個人はETCコーポレートカードを発行できない」と間違った認識が広がったようにも思える。
なお、個人事業主であればETC組合に加入して様々な恩恵を受けることができる。ETCコーポレートカード事業協同組合とは?ネクスコよりお得なETC組合
個人でETCコーポレートカードを申し込むには
個人ではETCコーポレートカードを申し込みするにはネクスコの窓口を利用する。
ネクスコとは高速道路株式会社3社の略称で、全国の高速道路を管理する最大手だ。
ETCコーポレートカードの専用窓口を全国に12カ所用意している。
とは言え、ETCコーポレートカードの申込み条件は少し厳しい。
- 申し込み窓口はネクスコ
- 保証金4ヶ月分(最低10万円)
- 車両にETC車載器を付けている
- 申込者と車両の名義が同じ
個人で発行するETCカードとしては申し込みの敷居は高いが、実際にカードが発行されれば法人で申し込みしたカードと同じ「大口・多頻度割引」を受けることができる。
他のETCサービスと比較する
ETCコーポレートカードを個人で所有する理由は様々だ。だが最大の目的は「大口・多頻度割引」であろう。
休日・深夜割引と併用すればれば従来の高速料金から50%近く割引きされることもある。
「大口・多頻度割引制度」をよく理解した上で希望するならば良いが単に「割引率が凄いらしい」という噂だけで発行すると痛い目に合う。
「調べもせずに申し込みをしたら実際はクレジット会社の発行するETCカードの方が得だった」というケースも少なからずある。
そうならないように他のETCカード(サービス)と比較してみよう。
ETCコーポレートカードと平日朝夕割引
ETCコーポレートカードには段階方式の「大口・多頻度割引」の他に「平日朝夕割引」が使える。
月~金曜日(祝日を除く)に割引されるサービスだ。
- 朝:6時~9時
- 夕:17時~20時
一般道路の通勤時間帯の混雑を緩和する目的があり、曜日・時間帯・距離・地方部などの制限を設けている。
高速料金が最大で50%割引される。
通常マイレージサービスに登録して初めて使える「平日朝夕割引」だが、ETCコーポレートカードなら特に手続きしないで「平日朝夕割引」に対応している。
「大口・多頻度割引」との併用はできないが、50%の割引率は魅力的だ。
だが「平日朝夕割引」はETCマイレージサービスに登録しても利用できる。クレジット会社が発行するETCカードでも「平日朝夕割引」は使えるということだ。
ようするに、平日朝夕割引だけを目的にETCコーポレートカードを申し込むのは賢いとは言えない。
無料で利用できるETCマイレージサービスで十分だ。
ETCマイレージサービスとは
ETCマイレージサービスとはETCカードで支払った通行料金に付与されるポイントサービスだ。
航空会社のマイレージを連想すれば分かりやすい。ちなみに登録も年会費も無料である。
ETCマイレージサービスは基本的にどのタイプのETCカードでも登録できるがETCコーポレートカードだけは登録できない。そのため比較対象になりやすい。
ETCマイレージサービスの割引率は最大で9.1%だ。
使っている高速道路、または時間帯や曜日にもよるがETCコーポレートカードとマイレージサービスのボーダーラインは9,200円だと言われている。
ただし9,200円はETC2.0車載器の事業用車両との比較であり個人利用で比べるなら「月13,800円」が目安だ。
月々の高速料金が13,800円以下ならETCクレジットカードにマイレージ登録して使う方が断然お得である。
保証金や手数料や申し込みの手間を考えると13,800円より少し超えたくらいでは割に合わないと私は思う。
なぜETCコーポレートカードを個人で申し込むのか
ETCの料金体制はシンプルなようで非常に複雑だ。
まず現金よりETCの方が安い。だがETCカードの種類、使っている高速道路、曜日、時間帯、それぞれの利用額、一つ違うだけで割引率が変わってくる。
ETCマイレージサービスを知らないドライバーも多いのではないだろうか?
そしてほとんどの個人ドライバーは無難なクレジット会社系のETCカードを選択する。既にカードを持っていれば手軽に発行できてクレジットポイントも付くからだ。
それでも法人向けのETCコーポレートカードを個人で申し込む人はいる。その理由を考えてみた。
- 通勤・レジャーで高速道路を多用する
- 法人の「申し込み条件」に満たない
- その他
通勤・レジャーで高速道路を多用する
新幹線で通勤する人は一時期に比べて減ったであろう。だが通勤に高速道路を使う人は未だに少なくない。
ETCコーポレートカードの「大口・多頻度割引」を使えば会社的に交通費削減に繋がるし、レジャーなど個人利用でも割引になる。
もちろん交通費とレジャー費は別清算にする必要はあるが「大口・多頻度割引」のメリットは大きい。
法人の申し込み条件に満たない
申し込み条件で少し触れたが、ETCコーポレートカードの申し込みは「申し込み者」と「車両の名義」が同じでなければならない。
法人で申し込むなら法人名義の車両であることが条件だ。
それなりの規模で営業している企業なら法人名義の車を所有しているだろう。だが小規模企業は社長名義の車を社用車として使うケースも珍しくない。
そんな時に社長(個人)名義でETCコーポレートカードを申し込むことがあるそうだ。なるほど納得である。
個人利用は会社にバレる?
会社のETCコーポレートカードを私用で使ったらバレる?と頓珍漢な質問を見かけることがある(本人は切実そうだが)
ETCコーポレートカードの利用明細は「どの車が、いつ、どのICを利用したか」が明確に記載される。
別の車にETCコーポレートカードを差して使っても「車両不一致」と記載される上に割引もされない。
明細を確認しないずさんな会社ならバレない可能性もあるが、いつでもバレる環境にあるとだけ申しておく。
「車両不一致」が続き”悪質な利用”と判断されるとETCコーポレートカードが強制解約されるケースもあると聞く。
くれぐれも不正利用はしないことだ。