ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスはどっちが得なのか?両者の割引率を検証、比較してみよう。
ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引制度は、通行料金の支払額が多いほど割引率が上がる仕組みだ。ETCマイレージサービスは利用できない。
ETCマイレージサービスは、クレジットカード会社のETCカードやネクスコの発行するETCパーソナルカードで利用できる。文字通り支払額に応じてポイントが付与されるサービスだ。
単純に割引率だけで両者を比較するなら、高速料金の目安は月13,800円。
しかし、首都高速や阪神高速をメインに通行してたり、クレカのポイントなどを考慮すると話は変わってくる。ETCマイレージサービスは、首都高速や阪神高速がポイント対象外だ。
しかもETCコーポレートカードは保証金や他の車で使えないなどのデメリットもある。単純に割引率だけで比較するのは困難だろう。
今回の記事で、ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスの割引率、メリットとデメリットを比較・検討してみよう
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスの割引比較
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスの割引を比較する前に、両者のサービス内容について軽くおさらいしてみよう。
それぞれの特徴を箇条書きすると下記のようになる。
- 割引率は最大40%
- 手数料629円/年
- 4ヶ月分の保証金
- 他の車で使えない
- 平日朝夕割引
- 割引率は最大9.1%
- 年会費無し
- クレカはポイントが付く
- 首都・阪神高速は対象外
- 平日朝夕割引
手数料やクレカのポイントは誤差の範囲だろうか。両者の割引率について詳しく見ていこう。
ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引
ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引は、高速道路の利用金額が多い・頻繁に利用する車に対して付与される割引サービスだ。
割引率は最大40%だが、ETC2.0の事業用車両限定。おまけに3万円を超える通行料金分だけが対象となっている。
事業用車両とは緑ナンバーのことで、自家用車(白ナンバー)の割引率は最大30%だ。
ネクスコの月間通行料金 | 割引率 |
---|---|
5,000円未満 | 無し |
5,001円から10,000円の分 | 10%(20%) |
10,001円から30,000円の分 | 20%(30%) |
30,001円以上の分 | 30%(40%) |
ETCコーポレートカードは、首都高速や阪神高速も割引対象。ただし、割引率はネクスコと比べて多少落ちる。
首都高速・阪神高速 | 割引率 |
---|---|
0円から5,000円 | 0% |
5,001円から10,000円 | 10% |
10,001円から30,000円 | 15% |
30,001円以上 | 25% |
ETCコーポレートカードの割引については別記事で詳しく解説している(参照:ETCコーポレートカードの割引率と割引計算を分かりやすく解説)
ETCマイレージサービスの割引
ETCマイレージサービスは、ETCカードの通行料金の支払い額に応じてポイントを付与するサービスだ。
貯まったポイントは無料通行料として使う「還元額」と交換する。交換した還元額は、次回以降の交通料金の支払いに使用できる。
事業者 | ポイント付与 | 交換単位 | 還元率 |
---|---|---|---|
ネクスコ | 10円→1P | 1000P→500円分 3000P→2500円分 5000P→5000円分 |
5% 8.3% 10% |
宮城県道路公社 | |||
本四高速 |
ポイント付与や交換単位は道路事業者によって異なるが、上記の表は最も多くポイントが付与される道路を抜粋した。なお、利用者の多い首都高速と阪神高速はポイント対象外だ。
ETCマイレージサービスは5000ポイントまで貯めて交換すると還元率が高い。10%の還元率を割引率に換算すると9.1%だ。(参照:ETCマイレージサービスとは?知らなかった人が多い無料の公式サービス)
具体的な通行料金で比較してみる
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスの割引を、具体的な通行料金で比較してみよう。
なお、ETCコーポレートカードの比較対象は、白ナンバー(最大30%)の車両とする。
月間利用額 | コーポレート 割引額 |
コーポレート 割引率 |
マイレージ 還元額 |
マイレージ 割引率 |
---|---|---|---|---|
5,000円 | 0 | 0% | 500円 | 9.1% |
1万円 | 500円 | 5.0% | 1,000円 | 9.1% |
13,800円 | 1,260円 | 9.1% | 1,380円 | 9.1% |
15,000円 | 1,500円 | 10% | 1,500円 | 9.1% |
2万円 | 2,500円 | 12.5% | 2,000円 | 9.1% |
5万円 | 10,500円 | 21.0% | 5,000円 | 9.1% |
10万円 | 25,500円 | 25.5% | 10,000円 | 9.1% |
ETCマイレージサービスの割引率が最大9.1%なのだから、ETCコーポレートカードの割引率が9.1%になる月間利用額13,800円がボーダーラインだ。
ボーダーラインを超えるならETCコーポレートカードを利用した方が得になる。
クレジットカード会社のETCカードでETCマイレージサービスを利用しているケースだと、例えばクレカのポイント1%を加算しても月間利用額15,000円がボーダーライン。
ちなみに割引率の高いETC2.0車載器の事業用車両(緑ナンバー)のケースだと月9,200円がボーダーラインだ。
通行料金以外に考慮するもの
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスを比較する上で、割引率以外に考慮するものがある。ETCコーポレートカードのデメリットはその一つだ。
まず、ETCコーポレートカードは車両が限定される。申込みをした車両のみ割引が有効だ。他の車で使用した走行分は、車両不一致として割引されない。
申込みに手間がかかる点も重要だ。車検証に謄本など従来のETCカードには不要な書類が必要で、書類を提出してからカードの発行まで1ヵ月程かかる。おまけに4ヶ月分の保証金を収める必要もある。
ネクスコの月間の通行料金が3万円以上ある法人なら、保証金なしでETCコーポレートカードを発行できる組合を利用する方法もあるが、申込みの手間は変わらない。(参考:保証金なしテイ・ネット物流事業協同組合)
ボーダーラインを少し超えたくらいの通行料金でETCコーポレートカードを申込みするのは利口とは言えないのではないだろうか。
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスの比較まとめ
ETCコーポレートカードとETCマイレージサービスは、割引率だけで比較すると「月13,800円」が目安となる。
ネクスコの高速道路の利用が毎月13,800円を超えるなら、ETCコーポレートカードを利用する方がメリットはある。
クレカのポイントを考慮した場合は「月15,000円」がボーダーラインだ。
注意点は、ETCマイレージサービスは首都高速や阪神高速が対象外なこと。首都高速だけを利用している人にとって、ETCマイレージサービスは無用のサービスとなる。
ETCコーポレートカードは申込みに手間がかかる点がデメリット。申請書類が多かったり、保証金が必要だったりする。交通料金が増えれば保証金の追加も求められる。車両が限定されるなどの制約もある。
一時的にボーダーラインを超えたとしても、ETCコーポレートカードのデメリットは無視できない。
高速道路の月間通行料金はもちろん、多く利用する道路やETCカードの使い方を考慮して選ぶのが最適解だ。