ETCコーポレートカード協同組合を名乗る者からの勧誘、最近では特に「営業電話」が増えているようだ。
ETCコーポレートカードを使っていない人には「私どもの組合でETCカードの発行をしませんか?」と勧誘してくる。既に持っている人に対しては「私どもの組合ならもっと割引できますよ」と組合の変更手続きを勧誘してくる。
実際に組合を変更してお得になるケースもあるのだが、営業電話で勧誘してくるETCコーポレートカード協同組合に加入してはいけない。なぜなら、ETCコーポレートカードを餌にした組合への勧誘行為はネクスコ(高速道路株式会社)に禁止されているからだ。
禁止行為を堂々と行う組合はネクスコに目を付けられ、遅かれ早かれ解散させられる可能性がる。手間をかけて作ったETCコーポレートカードが無効になるリスクがあるのだ。
かといって(営業用電話のため)やんわりお断りをしても、何度もしつこく勧誘してくる困った組合もある。
今回の記事ではETCコーポレートカードの勧誘について「営業電話のやり口」とその「上手な断り方」を解説する。
ETCコーポレートカードを勧誘する協同組合
ETCコーポレートカード協同組合の電話勧誘は迷惑な話しだが、ETCコーポレートカード自体は決して怪しいものではない。ネクスコ(高速道路株式会社)が発行する正規のETCカードだ。
高速道路の割引率が非常に高いため、高速道路を頻繁に利用する事業者は導入しているケースが多い。(よく知らない人は別記事にまとめているので「ETCコーポレートカードとは?」を参考にしてもらいたい)
しかし、ETCコーポレートカードには「4ヶ月分の保証金」「利用明細が分かりにくい」などの欠点もある。その欠点を補うのがETCコーポレートカード協同組合だ。ETCカードを取り扱う事業組合は全国に200~300あると言われている。
なぜETCコーポレートカードを勧誘するのか?
ETCコーポレートカード協同組合は組合員(加入した事業者)が多いほど運営が安定する。仕組みは簡単だ。
組合員は「車両単位割引」によって最大約30%(ETC2.0の事業車両は40%)の割引を受けることができる。
ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引にはもう一つ「契約単位割引」というものがある。この契約単位割引が組合の運営費として使われている。
契約単位割引は、契約した車両全ての利用が月500万円以上あれば更に10%割引されるサービスだ。ETCコーポレートカード協同組合の場合は「組合が契約者」となる為、組合員がETCコーポレートカードを使えば使うほど組合の収入が増えることになる。
ちなみに契約者単位割引は、月500万円以上から適用されるが、「1台あたりの平均が3万円以上あること」というルールもある。組合の加入条件に「月3万円以上の利用」が定められているのはそのためだ。
最近、ETCコーポレートカードの勧誘が増えたのはこの「契約単位割引」が関係していと予想する。
組合員の高速道路利用が減った、もしくは平均利用額が3万円届かなくなった、などの理由で契約単位割引が受けられない組合が出てきたのではないだろうか。
そうなるとETCコーポレートカード協同組合の活動は著しく縮小される。組合が解散してまえば「ETCコーポレートカードが突然使えなくなる」という最悪な事態も起こり得る。
原因はもちろん武漢コロナウイルスである。
2020年のコロナショックは観光業や飲食業だけでなく日経平均など様々な経済ダメージを与えた。高速道路の利用率も大幅に減った。ETCコーポレートカード協同組合の生命線である「契約単位割引」も大いに減ったと思われる。
減った売り上げを補てんするために「電話による勧誘」が増えたのではないだろうか?想像に容易い。
外国人技能実習生事業も悪化
もう一つ、(これも想像の範囲だが)ETCコーポレートカード協同組合は、別事業として「外国人技能実習生受入れ事業」を兼用しているケースが少なくない。
武漢コロナの影響で外国人の出入りが厳しく制限されている現在、外国人技能実習生事業は高速道路事業よりはるかにダメージが大きいはずだ。
コロナショックの終息は目途が立っていない。であれば、相対的にまだダメージの少ない高速道路事業に力を入れようとしているのではないだろうか。
どちらのせよ「強引な勧誘をするETCコーポレートカード協同組合」は存続の危機を匂わせている。
それどころかETCコーポレートカードの勧誘行為は、ネクスコの定める利用約款の第24条によって禁止されている。どちらのせよ、このような組合に加入するべきではない。
ETCコーポレートカードの勧誘の断り方
コロナショックで「存続が危ういETCコーポレートカード協同組合がある」と理解したところで、次に「電話勧誘の断り方」を解説しよう。
ETCコーポレートカードの勧誘で検索すると、サジェストワードに「断り方」が表示される。ETCコーポレートカードの営業電話を受けた人達の多くは、電話自体を迷惑と考えているのだ。
営業電話に対して「いらん!二度と電話をかけてくるな!」と突き放せれば良いのだが、会社の代表番号だと厳しく断るのも気が引けるだろう。
一番手っ取り早い断り方は「ETCコーポレートカードは営業禁止ですよね?」だ。二度とかけて欲しくない場合は「また電話をかけてきたらネクスコに報告しますよ」を追撃するとなお効果的だ。(先に説明したように、組合はETCコーポレートカードの勧誘が禁止されている)
それでもグダグダと喋る相手だった場合は「電話相手の組合と担当者の名前を聞く」と良いだろう。「検討してこちらから連絡する」と穏便に済ますのが大人の対応だが、それでも更に食い下がらない営業電話は要注意だ。ますます「存続が危うい組合」の疑惑が深まる。
既に他のETC協同組合に加入している時は、現在加入している組合に相談する手もある。
「他のETC協同組合からしつこく営業されて困っている」「今よりお得な条件を出されている」とチクれば良い。
本当にチクらなくても、営業電話の相手に「しつこい営業電話は今の組合に相談する」と言えば大抵は引き下がるはずだ。なにせ「事業協同組合」はそれぞれが別団体だが横の繋がりは強い。
「ETCコーポレートカード協同組合の変更」は、ようするに顧客の取り合いであり、組合業界ではルール違反となる。加入している組合は即座に対応してくれるはずだ。
ETCコーポレートカード協同組合に未加入でも営業電話の勧誘を断りたいのであれば、「高速道路の利用は月1万円も満たない。今後の増える予定はない」と言えば良いだろう。
非通知、偽名でETCコーポレートカードを勧誘してくる組合
ETCコーポレートカードの電話勧誘は昔から度々耳にするが、SNSが発達した近年では、炎上を恐れてか「非通知」「偽名」で電話をかけてくるケースが増えている。
ETCカードサービスセンター、ETCサービスセンター、ETCインフォメーションセンター、ハイウェイカードビジネスセンターなど様々だが、非通知で何度もかけてくるという。
電話番号を聞いても「発信専用のため教えられない」と断られる。リストから外すこともできないようだ。
かなり悪質な業者だが、高速道路を利用していない旨を示せば引き下がるはずなので「一般道しか走らない」と断ることをおすすめする。
資料を請求してしまうと、申し込みしない限りキャンセル料が発生するケースもあるのでくれぐれも注意が必要だ。
ETCコーポレートカード協同組合の変更は得?それとも損?
現在加入しているETCコーポレートカード協同組合が信用できず、組合の変更を考えているタイミングで営業電話があったとしても、その組合に決めるべきでない。
そもそもETCコーポレートカード協同組合の変更は簡単ではなく、次に加入する予定の組合とスケジュールなどを確認して手続きを行う必要がある。
組合の変更は新規の申込みより手間と時間がかかるのだ。
- ETCコーポレートカードを解約
- 組合を脱退
- 新しい組合に加入
- ETCコーポレートカードを新規申込み
- 利用開始
上記の工程を経るため、組合を変更する時は「ETCコーポレートカードが使えない期間が2~3カ月」空いてしまう。
タイムラグを極力減らす為に、新しい組合とは脱退・加入のタイミングを計る。信用のおける組合でなければならない。
ネクスコの定めるETCコーポレートカード利用約款を違反している組合が信用できるかどうかは言うまでもない。
ETCコーポレートカードの勧誘電話まとめ
ETCコーポレートカードの勧誘について最後にまとめる。
ETCコーポレートカードはネクスコ(高速道路株式会社)が発行する正規のETCカードだ。割引率が非常に高く、高速道路を頻繁に利用する事業者にとってメリットは大きい。
しかし「保証金」「明細書が分かりにくい」などのデメリットもある。そのデメリットを補う為にETCコーポレートカード協同組合が日本全国に存在する。
いわゆるETCコーポレートカードを取り扱う事業協同組合だが、組合自体は怪しい組織ではない。組合員を補助するために、真っ当な運営を心掛けている組合が多いはずだ。
しかし、割引率をちょろまかしたり、ルール違反をする悪質な組合も存在する。その一例として「ETCコーポレートカードの営業電話をかけてくる組合」だ。
ETCコーポレートカードを餌にして組合の加入を勧誘する行為は、ネクスコが明確に禁止している。仮にネクスコに営業電話の実態が発覚してしまうと、違反した組合のETCコーポレートカードは「1年間の割引停止」というペナルティを受けることになる。組合員が利用しているカード全てが対象の為、かなり重い処罰だ。
営業電話をするような組合は加入しているだけでリスクになる。仮にETCコーポレートカード協同組合の加入を検討しているなら、別記事「ETCコーポレートカード比較・100法人が選ぶ協同組合の一覧」を参考にしてみよう。